本稿は,ガーナ共和国における,Grade7~9 のThe Best Teacher Award 受賞経験のある「受賞教師」と受賞経験のない「一般教師」の理科授業について,教師と生徒のインタラクションに着目し,IRF 構造(Sinclair & Coulthard, 1975)およびIRE 構造(Mehan, 1979)を援用して分析し,両者を比較検討した。その結果,受賞教師の授業では発問数は一般教師のそれよりも多く,IRE 構造,IRF 構造も共に成立した回数は多かった。しかしIRF 構造の繰り返しの中で,生徒の応答に基づいて生徒の理解度,既有知識や経験を把握し,より深い教室談話へと生徒を導けていないことが明らかになった。また,改訂版ブルームの分類指標(Andersaon, L. W. &Krathwohl, D. R., 2001)を用いて発問を分析した。受賞教師の授業では大部分は「記憶する」「理解する」の低位なものであり,「分析する」「評価する」にあたる,より高位な発問もなされたが,最も高位とされる「創造」の発問は全くなかった。
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