抄録
学士課程の修了にあたって求められる能力として,中央教育審議会が取りまとめた「学士力」,経済産業省が提唱する「社会人基礎力」等がある。これらに共通する部分に問題解決力があるが,学士課程の数学教育では文系の大学生に対して問題解決力の育成には目が向けられてこなかった。本研究は,初年次教育や教養課程において,問題解決力を涵養する教育の枠組みに数学的モデリングを位置付け,現実の世界から「問いを発見し,問いを立てる」ことを盛り込んだ数学的モデリングの授業デザインを作成し,それをもとに,アクティブ・ラーニングの学習形態で学生が主体的に取り組む授業を行った。その結果,学生の現実世界の問題に対する意識が高まり,新たな問題に生き生きと積極的に取り組み,協働で活動する姿勢が随所で見られた。本研究の成果を報告する。