日本教科教育学会誌
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ロバート・カープラスの科学教育論に関する検討
― SCIS の取り組みに着目して ―
大貫 守
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2018 年 41 巻 1 号 p. 95-105

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抄録
本稿では,米国の科学教育研究者であるロバート・カープラスの科学教育論について,彼が設立したSCIS プロジェクトの取り組みに即して検討を行った。カープラスは,一般教育として科学的リテラシーを育てることを目標に科学教育を展開していた。そこでは,ピアジェの知的発達の段階を踏まえ,対象を捉える概念・説明的概念・解釈的概念を軸としてカリキュラムを構築していた。指導過程については,ピアジェの均衡化とクーンの理論転換の理論をもとに児童自身の観察と解釈,概念を用いた再解釈の過程を重視し,指導方略として学習サイクルを提案していた。それにより,前概念から科学的に適切な概念への変容や,知的発達を促すような教師の働きかけが可能になっていた。これらを通して,児童が科学的概念を習得し,身の回りの現象の解決に向けて適切な概念を抽象的に操作できる力を養っていた。
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© 2018 日本教科教育学会
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