抄録
汎用的な資質・能力の育成をめぐる近年の議論の中で,教科の性格や枠組みが問い直されている。こうした状況を踏まえ,本研究は,アメリカで議論されている「統合(integration)」に着目し,社会科におけるリテラシー教育の統合方法を探ることを目的とする。アメリカの取り組みを類型化した結果,以下の三つのタイプの統合方法を抽出した。それぞれ,リテラシー教育を,1)社会科の内容面で関連づける内容関連型,2)社会科の方法面で関連づける方法関連型,3)社会科の目標面で関連づける目標関連型,である。各類型の事例を分析した結果,後者のものほど社会科の理念を意識し,社会への関わりや社会の形成に必要な資質・能力の育成に重きを置いていることが明らかになった。