抄録
本稿では,小学校国語科における,主題単元による読書指導の展開の一つを明らかにし,特に,主題単元と生活綴方とを関連させた取り組みの存在を指摘した。検討の対象は,岐阜県美濃市立中有知小学校の昭和49年度の校内研究である。中有知小学校は,読書指導を目指し,主題単元という方法を選択した。そして学習者の成果を,学校文集に表現させたのである。この文集は,生活綴方の影響を受けたものである。つまり,主題単元と生活綴方とを関連させた取り組みがなされていたことを意味する。ただ,この取り組みの課題に,教員間で具体的な実践として主題単元の概念を共有できていなかったこと,「労働」以外の主題ではどのように展開するのかが明確ではないことなどがある。