本研究では,理科の観察スケッチの評価を支援するシステムの開発を行うとともに,開発したシステムから観察視点の特徴を類推し,観察における指導上の示唆を得ることを目的とした。システムは,Visual Basic により,深層学習における画像処理の方法を一部参考にし,これまでに開発してきた自己組織化マップを用いて作成した。その際,フィルタ処理のあるものとないものを作成し比較した。観察スケッチは,中学生を対象に顕微鏡を用いて植物の茎の断面と気孔を観察したものである。システムの妥当性の評価は,自己組織化マップによる観察スケッチの配置をもとに行った。その結果,フィルタのあるシステムでは,90%近くの観察スケッチが適切に配置されており,システムの妥当性が明らかになった。そこで,フィルタの特性から対象の構造の輪郭に注目して観察させるとよいことなどが類推され,指導上の示唆を得ることができた。