抄録
本研究は,小・中学校教員におけるリズム系ダンス指導の悩み事の内実を調査するために,次の2点の研究課題を設定した。1)小・中学校教員におけるリズム系ダンス指導の悩み事を性別・校種・ダンス指導歴および教職経験年数の差異をてがかりとして明らかにすること,2)小・中学校教員が求める教員研修の形態及び内容を明らかにすること。その結果,次の点が明らかになった。(1)①校種の差異なく「示範ができない」,「よいダンス(動き)が分からない」,「指導内容が分からない」という悩み事が上位項目として挙げられた。②若手教師は,中堅教師と比較して「児童生徒の能力差」に関する悩み事が大きかった。③ダンス指導歴において,悩み事の階層性が示唆された。(2)①研修の形態においては,「実技」の形態が最も多く,具体的に実技ビデオを活用した研修や曲と指導方法をセットにした研修という,研修内容を現場ですぐに実践できるような研修が求められていた。②研修の内容においては,次の3点にまとめられた。「多様な実践事例の紹介」,「実技力の向上と身体を介して指導のポイントやコツが理解できる内容」,「児童生徒の発達段階に即した指導内容」。