本研究の目的は, 単元に関わる児童の素朴概念を,科学的概念を形成するために設定した「本質的な問い」により学習前に把握できるか否かを,具体的事例を通して明らかにすることである。加えて「本質的な問い」を活用した診断的評価の在り方について提案することを目指した。実践の結果,既習事項が児童の素朴概念を見えにくくする場合があること,すなわち「本質的な問い」の設定によっては,既習事項のみ表出される可能性があること,さらに,一人称的な記述が引き出されるよう「本質的な問い」を工夫する必要性が示唆された。診断的評価を行うには,「本質的な問い」によって児童の素朴概念を把握した上で,トピックごとの問いを工夫し補完することも必要である。