2021 年 44 巻 1 号 p. 1-10
学校現場において,家庭科の住居領域は指導の困難さからその扱いが低調であることが指摘されており,効果的な授業開発が望まれている。本研究は,高等学校の住居領域の授業を受ける前後で,生徒の学びに対する意識や理解はどのように変化するかを分析し,その変化をもたらす要因を探り,今後の授業開発の視点を得ることを目的とした。授業の前後で生徒の意識を比較して分析した結果,住居領域の学びには,役立ち感と自分の住まいに対する課題意識が大きく関わっていることがわかった。今後の授業開発の方向性として,住居領域は現在または将来の生活に役立つ学びであることを授業内で継続的に実感させること,そして,授業の導入段階で自分の住まいに対する課題意識をもたせ,その解決を意識しながら授業を受けさせることで,生徒が意欲的に取り組み理解も深まる可能性が示唆された。