日本教科教育学会誌
Online ISSN : 2424-1784
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44 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 授業による生徒の変化に着目して
    速水 多佳子
    2021 年 44 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/09
    ジャーナル フリー
    学校現場において,家庭科の住居領域は指導の困難さからその扱いが低調であることが指摘されており,効果的な授業開発が望まれている。本研究は,高等学校の住居領域の授業を受ける前後で,生徒の学びに対する意識や理解はどのように変化するかを分析し,その変化をもたらす要因を探り,今後の授業開発の視点を得ることを目的とした。授業の前後で生徒の意識を比較して分析した結果,住居領域の学びには,役立ち感と自分の住まいに対する課題意識が大きく関わっていることがわかった。今後の授業開発の方向性として,住居領域は現在または将来の生活に役立つ学びであることを授業内で継続的に実感させること,そして,授業の導入段階で自分の住まいに対する課題意識をもたせ,その解決を意識しながら授業を受けさせることで,生徒が意欲的に取り組み理解も深まる可能性が示唆された。
  • 千種 彰典
    2021 年 44 巻 1 号 p. 11-22
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/09
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,物語における「矛盾」の視点が読みの授業にどのように関わるかを明らかにすることである。そして「矛盾」に着目し進展を見せた実践を再評価することによって,読み深めるという国語教育の課題に迫る一つの視点を示す。「手ぶくろを買いに」の「矛盾」は子ぎつねだけを一人で町まで行かせた母親の行動である。母親の「矛盾」した行動をめぐる解釈・実践を分析し,補足すべき解釈を提案する。実践においては,母親の行動の「矛盾」への気づきをとり上げたもの,「矛盾」を学習問題として話し合ったものがあった。これらは「矛盾」に関わる問題意識を高め,作品の主題に迫る学習としての意義が認められた。「矛盾」の視点による解釈・実践が,問題を明確にして問題を解決しようとする読みの可能性を示したと考える。
  • 体育授業研究の観察を事例として
    敖敦 其其格, 岩手 昌太郎, 濱本 想子
    2021 年 44 巻 1 号 p. 23-36
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/09
    ジャーナル フリー
    本研究は,外国人研究者の立場から日本の体育授業研究を観察することによって,何に気づき,どのような学びをするのかを明らかにすることであった。その結果,以下の2点が明らかとなった。第1に,日本の体育授業研究のシステムや体育授業作りの仕組みに関する気づきと学びである。具体的には,授業研究における3つの段階を構造的に捉えることの重要性である。授業の準備の段階において,授業研究における事前準備の必要性や教師教育者の関わりが重要であることを学んだ。研究授業の実施の段階において,体育授業の目標設定や教師行動に気づき,自国の体育授業と比較する中で体育科の本質を捉え直す契機となった。授業後の協議会の段階において,教師たちの協働的な省察を促す重要性に気づき,指導助言者の役割を学んだ。さらに,協議会の多様なスタイルも学んでいた。第2に,日本の授業研究を支える学校文化に関する気づきと学びである。具体的には,自他国の学校文化の相違を認める寛容性と学校組織や学校管理職との対話の必要性について学んでいた。
  • 教師の困難状況からみた課題
    齊藤 紀子, 河﨑 智恵, 伊藤 優, 伊藤 圭子
    2021 年 44 巻 1 号 p. 37-49
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/09
    ジャーナル フリー
    本研究では,特別支援学校中学部,中学校特別支援学級および通常学級から入学する生徒が共に学ぶ特別支援学校高等部の家庭科の授業における教師の困難状況を把握するとともに,家庭科における特別支援学校中学部および中学校の特別支援学級および中学校の通常学級と,特別支援学校高等部「家庭」との接続の課題を明示することを目的とした。その結果,高等部には特別支援学校中学部,地域の中学校特別支援学級,地域の中学校通常学級からの入学者の割合は各学校によって異なるが,混在して授業が行われていた。高等部に在籍する生徒たちは,中学までに様々なカリキュラムのもとで家庭科を学習してきているため,高等部家庭科での学習において,生徒間で履修してきた学習内容が異なり,基礎的な知識や技能の習得に差がある等の困難状況が指摘された。そして,家庭科担当教員の意識改革の必要性などの3つの課題が示された。
  • 保育を学ぶ学生による協働場面の分析を通して
    三橋 さゆり
    2021 年 44 巻 1 号 p. 51-64
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/09
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,保育者養成の授業を受講する学生が,協働で音楽を創造する課題をどのように捉え,取り組み,創造性を発揮するのか,その過程に関する理論的枠組みを明らかにすることである。そのために,Schafer の提唱したサウンド・エデュケーションの考え方に基づいて,紙を用いた音楽づくりの授業を実施し,学生の省察レポートをグラウンデッド・セオリー・アプローチに基づいて分析した。その結果,①学生が聴覚だけでなく触覚や視覚等の諸感覚を働かせ,多様な音を知覚し,そこから様々なイメージを想起して音楽づくりのアイデアを発想すること,②アイデアの発想には試奏時の視線を合わせることや動作の模倣及び同期による協働性の生起が関連すること,③この状況で比喩表現を用いてイメージを言語化することで,音に対する感じ方を他者と共有できるようになり,それを基にアイデアを発展させることが示唆された。
  • 文化-歴史的活動理論と知識構成型ジグソー法の援用
    白數 哲久
    2021 年 44 巻 1 号 p. 65-79
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/09
    ジャーナル フリー
    本研究では,主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に寄与する,科学読み物を活用した子ども同士の対話を促進させる方略について検討した。検討の過程で,「知識構成型ジグソー法」と,教材としての「科学読み物」を結びつけるためにエンゲストロームが提唱する文化-歴史的活動理論に基づいた「活動システムのモデル」を援用して授業デザインの枠組みを構築した。この枠組みを活用し,小学校第6学年を対象に「生物と環境」に関する理科授業の事例的研究を行った結果,子どもの環境保全に関わる科学的概念は「一人ひとりの心がけが大切であること」から,「人間が環境を保全すべきであること」や,「自然は人間だけのものではないこと」へと変容する傾向があることが示唆された。また,本研究で提起した「活動システムのモデル」に基づいた授業デザインの枠組みは,子どもの科学的概念の形成を促進させる授業づくりに有効であることが示唆された。
  • 女子大学の教職課程におけるSDGs の認識の変容を通して
    田爪 宏二, 高垣 マユミ
    2021 年 44 巻 1 号 p. 81-92
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/09
    ジャーナル フリー
    本研究では,新学習指導要領で新規に打ち出された,現代的な諸課題に関する教科等横断的な教育内容を対象とし,その内容を具現化するために,女子大学の教員養成課程において,「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」を導入した中学生向けの教材作成に取り組んだ。教材作成を行った前後に,受講生のSDGs に対する認識の変容を調査・分析した。量的分析においては, SDGs の認識は[ 平等・公正],[ 自然環境],[ 福祉・教育],[ 産業・経済]の因子に分かれ,関心度,認知度は平等・公正分野が,取組のイメージは福祉・教育分野が高かった。講義後では,SDGs 全体及び各開発目標の認識が向上し,特に自然環境分野の認知度が大きく上昇し,SDGs 全体及び福祉・教育分野において認知度と取組みのイメージとの相関が強くなることが分かった。これらの変容を明らかにするために質的分析を行った結果,SDGs の課題に取り組む中で,「教科を横断的に活用する資質・能力」及び「将来の予測が困難な現代的な諸課題を解決していくための自立と共生に向けた資質・能力」が育まれている可能性が示唆された。
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