抄録
本稿では,相互作用的な話し合いの中において意味づけがどのように間主観的に共有されていくのかの具体を小学校2年生の絵本を用いた話し合いから検討した。4班と8班の2つの班を抽出し,2回の実践における児童の発言や,話し合い前後のワークシートの記述を分析した。1回目の実践からは,4班の児童が話題同士のつながりを意識して発言を行うことによって,意味づけの累積が行われている実態が示された。2回目の実践においては,論争的な姿が見られた4班の話し合いを意味の面から分析した結果,間主観的な《共創的共有項》の形成が認められた。一方で同意を行いながら進行していた8班の話し合いでは,自分の意味づけの中で他児童の発言に同意する《個人内共有項》にとどまっていた。また,《共創的共有項》が形成されたとき話し合いが促進され,個人では行われなかった意味づけが新たに提示され,解釈や多様な着眼点が獲得される可能性が示された。