日本教科教育学会誌
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原著
認知的表現ツールに見られる概念変容とメタ認知の特徴 ―Cognition Mapに表れる言語・非言語の分析より―
松田 雅代溝邊 和成
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2022 年 45 巻 1 号 p. 23-35

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抄録

 本研究では,自己調整学習を志向する小学校第3学年理科授業(「磁石の性質」)において,学習過程を加味した認知的表現ツールを活用し,概念変容とマップの記述分析及びメタ認知に関する意識調査を目的とした。

 その結果,概念の変容がとらえられ,概念定着についても効果が見られた。ツール上には,メタ認知の結果の表れである言語・非言語による多様な表現が見られた。多くの子どもは,実験の方法や結果に対して,言語と描画を併用した方法で工夫し自らが認知したことを表していることが分かった。オノマトペやメタファーをはじめ,問答形式や強調,比較などの多様な文章形式とともに,順序・手順を示す番号や矢印,枠組みの設定,彩色等の特徴が見られた。また,これらの特徴の取り上げた項目数や様々な組み合わせからは,子どもの理解の多様性が示された。意識調査の結果からも,マップに依拠する多様な表現と理解表現のモニタリングによって,子ども自身の行動と理解が豊かに表されていたことが分かった。

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