本研究は,人間関係学を創始した松村・斎藤(1991)の5つのかかわり方を理論として援用した家庭科家族学習におけるロールプレイングの授業を開発し,中学生を対象に授業実践を試み,家族・親との関係スキルへの効果を明らかにした。
家族学習については,生徒の興味・関心は低いとされている。そこで,家族学習への興味の高い生徒と低い生徒の2つの群に分類し,ロールプレイングの効果として,受容,感情認識,行動認識,行為という関係スキルについて,量的調査を基に分析を試みた。
ロールプレイングを含む家族学習により,中学生は学習への興味が高まること,興味が低い生徒については,学習により家族・親との関係スキルである受容を有意に高めること,さらに学習への興味に関係なく,感情認識,行動認識,行為の関係スキルが学習後に有意に高まることが明らかとなった。
人間関係学に基づくロールプレイングを取り入れた家族学習が生徒の家族・親との人間関係スキルに影響を与えることから,今後,学習への興味と家族・親との人間関係スキルについてさらに検討していくことが重要である。