2022 年 45 巻 1 号 p. 51-62
本稿の目的は,連邦国家・州レベルでの文化教育(Kulturelle Bildung)の展開に着目し,ドイツ市民性教育における社会参加の基礎を形成する「文化的参加」の位置付けを明らかにすることである。連邦国家・州・実践レベルにおける「文化的参加」の整理・分析により,連邦レベルでは,1)諸コンピテンスやアイデンティティの形成による個人の自己形成的アプローチ,2)参加機会の拡大および芸術・文化による包括的な社会的結束のためのアプローチの2点,そして州・実践レベルでは,上記に加えて,3)社会参加の基礎を形成する問題解決的アプローチ,という位置付けが明らかとなった。