2022 年 45 巻 1 号 p. 63-74
本研究では,小学校教師志望学生の前転の素朴概念を明らかにし,その修正を試みるための意図的な学習を実施し,素朴概念を修正できるかどうかを明らかにすることを目的とした。予備調査で抽出された前転の技術的課題の観点に対して,重要度を調査することで大学生の素朴概念を明らかにした。また,素朴概念を修正するために課題に取り組ませた。その結果,以下の2点が明らかとなった。
1点目は,前転の技術的課題に対する重要度の認識を問う調査により,小学校教師志望学生の前転の素朴概念は,回転加速と伝導の技術を重要ではないと認識していることであった。2点目は,小学校教師志望学生の前転の素朴概念は,どのような運動感覚が重要かを意識し,仲間と協働して行う学習により変容することが示唆された。