本稿の目的は,高等学校の古典教育における和歌学習において,これまで十分に展開されていなかった,和歌の〈感じ〉を読むことを目指す学習を開発することにある。
従来の和歌学習では,和歌の修辞法の確認や直訳など,散文での説明的な活動のみが展開されていたとされる。しかし和歌文学研究では,散文によって直接説明できない,言語化不可能な〈感じ〉の側面も指摘されてきた。このことを踏まえると,和歌の〈感じ〉の面を読む学習の開発が求められる。
これらを踏まえ,本稿では,高等学校一年生を対象とした実践を開発するとともに,展開した。その結果,学習者は和歌伝統やその和歌から読みとれる〈感じ〉を踏まえて和歌を読むことの重要性を自覚するに至った。