2023 年 45 巻 4 号 p. 67-72
本稿は,2022年度日本教科教育学会学会主催シンポジウムのリサーチクエスチョンである「教科教育研究者の持ちうる特有の専門知とはなにか」に対して,筆者の経験に基づいて述べるものである。研究者として教科教育学研究に向き合う姿勢とは,教科教育学に関わるテーマを明確に持ち,それに向けて絶え間なく研究を遂行すること,そのような精神が研究者としてもっとも大切な専門性につながっていく。教科教育研究者の持ちうる特有の専門知の必要条件を,3つのカリキュラムとそれぞれのカリキュラムの歴史的変遷を理解した上で研究活動を行うことができることとした。この必要条件を満たすために,同一,同傾向の問題意識で研究をしている国内外の数学教育研究者との情報交換と協働を行うことが求められることなど,どのような研究活動や教育活動を行えばよいか,また,専門家として付随した活動を例示した。