日本教科教育学会誌
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中等教育における理科化学分野と家庭科の内容的かかわり合い
藤谷 健
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1982 年 7 巻 4 号 p. 177-182

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抄録
理科化学及び家庭科という2つの教科の間の内容のかかわり合いの問題について,前報の歴史的考察に引続き,本報ではこれら2つの教科の中に共通に含まれる自然科学的要素の取り扱いを,その教科内容の背後に存在する文化領域及びそれが体系化されたところの学問体系との関係から理論化することを試みた。自然科学的現象は,これを純理論的に,無目的的に体系づけると純粋科学となり,また,社会的背景を考慮して体系づけられたのが応用科学である。そして,これが教育内容体系に反映するとき,前者は学問への志向という活動に対応し,後者は生活の豊かさを求める活動に対応して,この両者が調和してはじめて「国民的教養としての科学教育」が生れることになる。ところが,理科教育の現状は前者のみに偏しており,一方,家庭科は技能教育の色彩が強く残されていて,そこで自然科学的内容を取り上げることが余りに少ない。そして,両教科の間には「生活の科学的理解」という大きな欠落部分が生じている。これらのことについて,コロイド状態及び界面現象をひとつの例としてとり上げ,これを実証した。
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© 1982 日本教科教育学会
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