日本教科教育学会誌
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理科教員養成大学のカリキュラムと科学認識論
平 一弘
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1983 年 8 巻 3-4 号 p. 159-164

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抄録
大学のカリキュラムはその大学の目的とその大学の中心的学問の構造によって決定される。理科教員養成においてその学問とは理科教育学であり,その構造決定に理科教授・学習理論の歴史的変遷をここに辿った。その結果,理科教育学は科学認識論を前提に成立し,その認識論は理科教育の基礎構造的位置を占めた。1900年代の経験学習の時代においてBacon流の帰納法的認識論が,1960年代の発見学習の時代においてPopper流の演繹的認識論が,更に最近においてKuhn流のParadigm理論によって理科教育研究は決定的に支配されている。この理科教育学の層構造的特徴は理科教員養成のカリキュラム編成において,ある重要な視点を与える。すなわち科学史,科学認識論,科学基礎論といった授業課目が日本の教員養成大学でもっと重視されなければならない。これは最近の理科教育学に対する学問的疑問(理科教育学の認識論は何か)に対する回答でもある。
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© 1983 日本教科教育学会
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