抄録
理科放送番組を視聴した子どもの認識活動には番組構成論理に従った方向性が生まれるとされる。本研究では,この番組視聴過程を認知的葛藤とその低減過程ととらえ,そこから認識活動に方向性が生まれると仮定する。そこで,番組視聴に伴う認知的葛藤の実態を調べ,これが番組構成の中でどのように位置づくかを明らかにしようとした。そのため,小学校5年生男子児童10人に理科放送番組を視聴させ,その時の脳波を導出し分析するとともに,番組視聴終了後に記述させた視聴ノートの内容を分析した。主結果は以下のとおりである。1):番組内容に対する子どもの理解は十分であった。2):子どもは番組構成に従った認識活動をしていた。3):視聴過程における子どもの認知的葛藤には個人差があった。4):番組の内容構成に起因する認知的葛藤場面が抽出された。5):認知的葛藤を分析するうえで脳波の指標としての可能性が指摘された。 '