日本教科教育学会誌
Online ISSN : 2424-1784
Print ISSN : 0288-0334
ISSN-L : 0288-0334
9 巻, 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 米山 朝二
    原稿種別: 本文
    1984 年 9 巻 2 号 p. 37-50
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    マイクロティーチンクの手法を取り入れた「英語科教育法」の実践を述べ,その特長,留意点,問題点とその解決方,受講生の本方式に対する反応及び本方式の効果を考察し,今後の展望を試みる。マイクロティーチングは,クラス規模,授業時間,動員される教授技術を縮少或は集中して行う模擬授業の総称である。本実践は,peer teachingの形態をとり,そのサイクルは,計画-授業-観察-討議-再計画-再授業-再観察-比較分析とし,観察・討議はビデオ録画を用いた。さらに,指導教官による演示を含む指導技術に関する講義と映画"Teaehing Obserued"の視聴を組合せ総合的な教育法の実践を目指した。学生の反応は好意的であり,効果的な方法であると考えられる。
  • 鈴木 重人
    原稿種別: 本文
    1984 年 9 巻 2 号 p. 51-60
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    今日の日本の教育は厳しい批判を受げている。中学校での「暴力」については種々議論されている。 1982年4月19日付朝日新聞での「英語不得意者同盟」の調査によると,大部分の中学生は英語の授業に失望している。そして,彼等の希望のうちの1つ「英語が話せたらいいな」は87%もある。筆者は,我が国中学校英語教科書3種を選び,理科関係の単語の種類とその配列につき調査した。日常生活になじみ深い単語・その有機的配列は生徒を楽しませ,「おちこぼれ」を防ぐ一助ともなろう。亀は混乱をさけるためTurtleの記載がよかろう。
  • 三島 嶽志
    原稿種別: 本文
    1984 年 9 巻 2 号 p. 61-67
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    電流概念の形成過程を明らかにするためには,子どもの電流に関して持っているイメージの変容過程を知ることが重要である。そこで今回は,豆電球と乾電池よりなる単一閉回路での豆電球の点灯する理由について,小学校3年から中学校3年迄を中心に調査し,詳細に検討した。調査問題は,内包的概念にまでおよび,選択法により回答させた。本調査の目的は,豆電球の点灯理由を通して,子どもの電流に関して持っている概念とその学年推移を知ることである。回答の分析の結果,電流等の流れる向きも含めて,電球の点灯する場合の電流等のイメージには様々なものがあることが分かり,その考え方の変容過程を明らかにすることができた。
  • 坂田 ひろし, 松本 敏和
    原稿種別: 本文
    1984 年 9 巻 2 号 p. 69-76
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    これまでにLP行列表示を用いての評価法で,一斉授業における関数概念の学習状況を明らかにすることができた。これに基づいて診断を行ない「きめ細かい一斉授業」「個別指導」により治療を行なった結果をLP行列表示で評価した。本研究は前記治療により,子どもたちの一人一人の学習状況がどのように変っていくかを明らかにしたものである。
  • 小池 直己
    原稿種別: 本文
    1984 年 9 巻 2 号 p. 77-82
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    イギリス研究とは,地域研究(Area Studies)の一分野であり,イギリスの歴史・文学・社会科学などの諸学問の知識や方法を綜合して,究極的にはイギリス・イギリス文化を研究する学問であり,英語教育の教養上の目的のために,その研究成果を直接的に我々英語教育に携わる者に対して提供してくれる。また,地域研究の一分野であるイギリス研究は,社会科教育で取扱われるイギリスの歴史・政治・経済・地理などと密接に関係している。従って,ここに英語科教育と社会科教育との共通の基盤を見い出すことができると思う。これまでは,住々にして各教科教育の綜合的研究の必要性が問われてきたにも拘わらず,各教科の狭い枠の中での研究が多く見られた。英語科教育に関して言えば,国語科教育との統合的研究がなされてきているが,社会科教育との統合的研究が体系的になされたことはあまり見られなかった。この度,イギリス人の法意識とその社会的歴史的背景を考察することにより,英語科教育の立場からイギリス地域研究を試みた。
  • 松本 伸示
    原稿種別: 本文
    1984 年 9 巻 2 号 p. 83-90
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    理科放送番組を視聴した子どもの認識活動には番組構成論理に従った方向性が生まれるとされる。本研究では,この番組視聴過程を認知的葛藤とその低減過程ととらえ,そこから認識活動に方向性が生まれると仮定する。そこで,番組視聴に伴う認知的葛藤の実態を調べ,これが番組構成の中でどのように位置づくかを明らかにしようとした。そのため,小学校5年生男子児童10人に理科放送番組を視聴させ,その時の脳波を導出し分析するとともに,番組視聴終了後に記述させた視聴ノートの内容を分析した。主結果は以下のとおりである。1):番組内容に対する子どもの理解は十分であった。2):子どもは番組構成に従った認識活動をしていた。3):視聴過程における子どもの認知的葛藤には個人差があった。4):番組の内容構成に起因する認知的葛藤場面が抽出された。5):認知的葛藤を分析するうえで脳波の指標としての可能性が指摘された。 '
  • 日置 光久
    原稿種別: 本文
    1984 年 9 巻 2 号 p. 91-97
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,映像認識における子どもの論理の構成と展開に関する研究として位置づけられる。今回は,特に理科放送プログラムの視聴後の子どもの再生活動の論理の構成と展開について考察することを目的とした。そこで,子どもに理科番組の視聴を行わせ,次に番組をキーシーンを中心に再編集し,再度提示した。キーシーンは7場面あり,各キーシーン毎にその後の展開を聞く質問を行った。子どもの回答の分析の結果,次のこと明らかになった。1)各場面において再生が可能であった子どもの人数及び再生された場面の数はほぼ定であった。2)再生された場面は,全て質問が行われた場面以降のものであった。3)再生された場面には,頻繁に再生されるものと,ほとんど再生されないものが存在した。4)頻繁に再生された場面は,番組の論理展開に重要な関連を持っているものであった。映像認識において,番組の持つ論理構造を忠実に再現できることはそれほど重要なことではなく,むしろ再生の不完全な部分にこそ子どもの豊かな発想への大きな可能性か秘められていると考えられる。
  • 猿田 祐嗣
    原稿種別: 本文
    1984 年 9 巻 2 号 p. 99-105
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,放送の直接教授性の可能性と限界を探るために,理科番組視聴中の学習者のイメージ形成と番組視聴後の発展学習における問題解決活動の実態を評価する観点を明らかにすることにある。そこで,まず理科番組を1年間継続視聴してきている小学校5年生男子児童10名に,未視聴の理科番組を個別視聴させた。その後,番組内容に対して抱いたイメージを具体的な活動へと表現する発展学習の場を設定し,そこでの児童の活動を観察し,VTRに記録した。分析は,児童のイメージおよび具体的活動の2つの側面から行った。その結果,次のような知見が得られた。(1)児童の発展的活動は番組内容にもとづくものであった。(2)児童のイメージ形成を評価する観点としては,(a)番組内容との関連,(b)具体的活動への発展性の2点が得られた。(3)さらに,児童の具体的活動を評価する観点としては,(a)問題解決過程に沿ったものとなっているかどうか,(b)活動の継続性の2点が得られた。
  • 松原 道男
    原稿種別: 本文
    1984 年 9 巻 2 号 p. 107-112
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,理科の教授学習過程における個々の場面および全体を通しての学習者の論理展開を明らかにすることにある。その際,論理展開の重要になると思われる仮説・検証場面に注自した。調査は,一人ひとりの学習者の論理展開を把握しやすいように放送教材を用いた。まず,理科番組を1年間継続視聴してきている小学校5年生の男子10名を対象に,未視聴の理科番組を個別に視聴させた。その後,仮説・検証の場面を抽出して再編集した番組を学習者に提示し,各場面に対する学習者の論理展開を調べた。その結果,次の点が明らかになった。1)学習者は,前の場面とつながりの深い場面において論理展開が容易になる。2)学習者は,理解できた場面から番組全体についてとらえていこうとする論理的思考をもつ。3)したがって,理解できない場面が存在しても,それまでに理解できた場面から次の場面を理解することができると考えられる。
feedback
Top