日本サンゴ礁学会誌
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総説
巨大化した台風がサンゴ礁生態系に及ぼす影響についてのレビュー:研究課題と研究戦略
本郷 宙軌
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2013 年 15 巻 1 号 p. 15-36

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抄録
台風はサンゴ礁生態系に影響を及ぼす環境要因のひとつである。例えば,台風によって生じる風と波浪は,サンゴ礁に生息する底生生物の物理的破壊(剥離や転倒,破損)や堆積作用,地形の改変,海水温の低下などを引き起こす。また,台風によって生じる豪雨は多量の堆積物と栄養塩を礁内に流入させるため,底生生物は影響を受ける。全球気候モデルの数値計算によると,地球温暖化によって台風時の最大風速と降水量が現在よりも増加(台風の巨大化)することが予測されている。そのため,台風の巨大化によって,サンゴ礁生態系が受ける影響は大きく変化する可能性が高い。本稿では,台風がサンゴ礁生態系に及ぼす影響について紹介し,研究の着眼点をまとめる。さらに,巨大化した台風がサンゴ礁生態系に及ぼす影響についての最新の予測研究を紹介し,今後の研究の方向性を示す。
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© 2013 日本サンゴ礁学会
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