イシサンゴ目に属するミドリイシ科 Acroporidae は,これまでミドリイシ属
Acropora,トゲミドリイシ属
Anacropora,アナサンゴ属
Astreopora,コモンサンゴ属
Montipora の4属であるとされていた(例えば,Veron and Wallace 1984; 西平・Veron 1995; Veron 2000)。しかし,2007年,Wallace らは,形態的・生態的特徴と分子データを基に,ミドリイシ属内の亜属の一つであった
Isopora を属へと昇格させた(Wallace et al. 2007)。しかしながら,日本国内においてこの事実が周知されておらず,
Isopora の種が未だミドリイシ属のままの学名で用いられていることが多い。また,
Isopora には亜属の時代から和名が与えられていない。そこで,この属の周知を図るため,属に昇格した
Isopora の和名をニオウミドリイシ属(新称)として提唱するとともに,本属の特徴および種の解説を行う。本稿はWallace et al.(2007)を主体に,今回観察した日本産
Isopora の標本の形態データを新たに加えてまとめたものである。また,国際動物命名規約に則り,これまで
Isopora のタイプ種とされていた
Astrea palifera Lamarck, 1816が間違いであり,実際には
Madrepora labrosa Dana, 1846であることが判明したため,それについても記述する。
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