2019 年 21 巻 1 号 p. 73-80
サンゴ礁の保全に関して,国際サンゴ礁イニシアティブ(International Coral Reef Initiative : ICRI)と呼ばれるユニークな枠組みが設けられ,研究・モニタリング,持続可能な管理,能力養成,活動の評価・再検討等が推進されてきた。2年毎に入れ替わる事務局がとくに寄せる関心事項に応じ,総会での議論や行動計画の内容は変遷を遂げてきたが,ここ数年間でとくに見られる特徴としては,ICRI独自で資金調達を行い,個別の保全事業に対して助成を行えるようになったことのほか,関連する国際的枠組み・機関との連携やモニタリングの取組を強化しようとしていることである。本稿では,こうしたICRIの昨今(主に2016年以降)の活動について概説するとともに,ICRIに関連する国際的枠組みの動向や日本が果たしている役割についても紹介する。