日本サンゴ礁学会誌
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白化現象に伴う造礁サンゴの大規模斃死
藤岡 義三
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1999 年 1999 巻 1 号 p. 41-50

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抄録

1998年夏、南西諸島において造礁サンゴの白化現象が発生した。石垣島において大コドラート法 (10×10m) によるフィールド調査を行った結果、(1) 白化の範囲が広い、(2) 白化の程度が強い、(3) 白化に伴う死亡が顕著という、従来にはない際立った特徴が認められた。
水深1~2mの浅い礁原上では、平均85.9~92.2%の造礁サンゴが白化し、影響の大きいミドリイシ類の死亡率は60.7~78.7%にも達した。白化被害は種や生息場所によって大きく異なっており、以下の4つのグループに分けられた。
I. 白化率、死亡率とも高い (クシハダミドリイシ、オトメミドリイシなど)
II. 白化率は高いが、死亡率は低い (コユビミドリイシ、エダコモンサンゴなど)
III. 白化率、死亡率とも低い (リュウキュウノウサンゴ、ユビエダハマサンゴなど)
IV. 白化率よりも死亡率の方が高い (エダセンベイサンゴ)
今回の白化の主な原因は、夏季の高水温である。石垣港の月平均海水温は、過去85年間に、夏季0.7℃、冬季2.0℃上昇しており、このことが近年の白化被害の増大に影響しているという可能性が示唆された。

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