抄録
石垣島浦底湾に1998年10月に設置した人工礁には、2002年夏の時点で多数のミドリイシ属サンゴの幼群体が成長していた。幼群体の固着部の長径には、55mmと15mmにモードがあり、大きい方のモードに対応する幼群体は、99年の繁殖期に生じた幼生の加入によってもたらされたと考えられた。
1998年の異常な高水温は南西諸島の広範囲に及んでいたことから、幼生の供給源となった群集も強いストレス下にあったことが推測される。こうしたストレスは、生き残ったサンゴの繁殖能力に深刻な影響を及ぼしていることが報告され、加入レベルの低下が懸念されたが、そのような悪影響は予想されていたよりも限定的であったと推察された。