日本サンゴ礁学会誌
Online ISSN : 1882-5710
Print ISSN : 1345-1421
ISSN-L : 1345-1421
海水に対する酸性赤色土の化学的インパクト
Mohamed Mkadam KomboSaid Suleiman Bakari新城 竜一渡久 山章
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 8 巻 1 号 p. 13-23

詳細
抄録
海域に流入する酸性赤色土が、海水に対して化学的にどんなインパクトを与えるかを研究した。特にpH, Na+, K+, Ca2+, Mg2+, Al3+, 溶存ケイ酸に注目した。海水のpHは赤土量と共に減少し、4.06まで下がった。Al濃度はpHの低下に伴って、通常海水の0.0256meqL-1から5.95meqL-1まで増加した。H+とAl濃度が増加するにつれて、K+, Ca2+, Mg2+は減少した。ただ、Na+はそれほど変化しなかった。増加したH+とAlの合計濃度と減少したNa+, K+, Ca2+, Mg2+の合計濃度の間には、強い相関があった。このことは、赤土と海水間でイオン交換反応が起っていることを示している。それからpH低下につれて、溶存ケイ酸濃度も増加した。このことは、赤土自身が自分から出ていくH+によって風化を進めていることを意味している。赤土の海域への流入は、物理的悪影響だけでなく、化学的にも海域生態系に悪い影響を与えているといえる。
著者関連情報
© 日本サンゴ礁学会
前の記事 次の記事
feedback
Top