抄録
栃木県農業試験場と資材メーカーで共同開発された水稲の新育苗箱 (商品名 : かるかるニューライン) は, 深さを在来の育苗箱の2/3にしたことで使用培土を2/3に減量でき, 軽量化を図ると共に床面にも凹凸を加えることにより, 健苗育成が可能な新型の育苗箱である. そこで, 群馬県で広く普及しているプール育苗条件で新育苗箱による育苗が可能かどうかの検討を3か年にわたって行った. その結果, プール育苗で問題となる育苗箱底面からの出根量は, 在来の育苗箱よりも育苗期間によっては多くなるが, 出根形態が異なっていた. このため, 在来の育苗箱で移植作業時に必要となる出根の除去作業や, 出根防止対策の必要はなかった. また, 新育苗箱の苗の生育は, 無追肥では培土量の減量分だけ減肥となるため, 在来育苗箱よりもやや劣る場合もあるが, 移植精度や活着, 初期生育には明らかな差はなく, 実用上問題はなかった.