日本作物学会紀事
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品種 · 遺伝資源
水稲の湛水土中直播栽培における出芽性の検定方法と遺伝的変異
太田 久稔井辺 時雄吉田 智彦
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2003 年 72 巻 1 号 p. 50-55

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抄録

水稲の湛水土中直播栽培において重要な特性である土中出芽性に関しての検定方法を催芽程度, 温度, 播種深度の面から検討した. また, 国内外の約300品種を検定し, 土中出芽性の遺伝的変異を検討した. 最初に湛水表面播条件における苗立ちについて検討し, 土中出芽性との相違を検討した. 催芽程度, 温度, 播種深度と土中出芽率との関係では, 催芽程度は鳩胸状態が, 温度は高い方が, 播種深度は浅い方が土中出芽率が高かった. 表面播種での苗立ち率と土中出芽率の相関は低く, 特にインド型のハバタキは相違が大きかった. その結果, 土中出芽性はそれ独自の検定の必要性が確認できた. 土中出芽率の品種間差を効率よく評価するために, 催芽長約1mm程度になる25°Cで3日間の催芽処理を行い, 温度25°C, 播種深度を2cmとする試験条件を設定した. 約300品種を用いた土中出芽率の検定結果では, 出芽率の変異が0%∼95%となり遺伝的な多様性が明らかとなった.

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© 2003 日本作物学会
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