日本作物学会紀事
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品質 · 加工
コムギにおける播種時期の違いが製粉特性に及ぼす影響
佐藤 大和内村 要介松江 勇次
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2003 年 72 巻 1 号 p. 43-49

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抄録

コムギの作期前進化を前提とした高品質コムギの安定生産技術を確立するために, 秋播性程度の異なる品種を用いて播種時期 (10月下旬∼12月上旬の5水準) の違いが製粉特性に及ぼす影響を検討した. タンパク質含有率, 最高粘度および粉の色相には播種時期の違いによる影響が認められたが, 製粉歩留, 灰分含有率およびアミロース含有率には認められなかった. タンパク質含有率は, 10月下旬播は他の播種時期より高く, 1穂粒数の減少および倒伏の結果, 収量が低下し, 粒へのデンプンの蓄積量が少なかったことにより相対的に高まったと考えられた. また, グルテン特性は播種時期により異なり, 播種時期が早いほどグルテンの強さを示すグルテンインデックスは低かった. 最高粘度は播種時期が早いほど低下する傾向が認められた. 粉の色相は播種時期が早いほど劣る傾向を示し, 収量の低下によるタンパク質含有率の上昇と登熟期間中の降雨の影響によるものと推察された. 以上の結果から, 民間流通に対応した高品質コムギ生産を考慮した場合, 播種時期別の生育, 収量, 外観品質および製粉特性から総合的に判断すると福岡県のコムギ播種時期の早限は11月5日頃までと考えられた.

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© 2003 日本作物学会
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