日本作物学会紀事
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品種 · 遺伝資源
育苗箱を利用したイネ品種の低温苗立ち性の検定方法と苗立ち性の異なる品種を基準品種として用いた評価法
荻原 均川村 陽一扇 良明谷口 岳志趙 志超吉永 悟志寺島 一男
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2003 年 72 巻 3 号 p. 301-308

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抄録

育苗箱を用いて, 一定の播種深度でイネの低温苗立ち性を検定する方法を検討し, その方法で得た5年間のデータより帰納的に, 基準品種を選定し, 試験結果の適否を判断する方法ならびに結果を相対化する方法を検討した. 育苗箱の上端から0, 4, および8mmまで床土を詰め, その上面に播種した後, 育苗箱の上端まで覆土することにより播種深度を変えた. 1995年に21品種, 96年に19品種の低温苗立ち性を, 平均地温11.3∼20.9°Cで検定した. 品種の苗立ち率の分布と実測した出芽深度の分散程度から, 播種深度は4mmが適当と判断された. この方法は, 水田に播種した場合の品種間差をよく反映していた. 播種深度4mmでの試験を5年間行い, その結果から帰納的に, Arroz da Terra (低温苗立ち性 : 優), Calrose (良), はえぬき (普通), ふくひびき (やや劣る), Blue Bonnet (劣る) の5品種を基準品種として選定した. そのうちから指標品種としたふくひびきの苗立率が30から60%, かつ, Arroz da Terraの苗立率が75%以上だった試験の結果のみを用いることで, 品種間差の検出力が向上した. また, 毎回供試した基準品種5品種の平均値と標準偏差を用いて, 同時に供試した他の品種について擬似的な偏差値を算出した. この相対化された指標を用いることによって, 苗立ち率をそのまま集計した場合に比べて, 異なる試験間および年次間でデータを集約する際の検出力を改善できた.

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© 2003 日本作物学会
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