日本作物学会紀事
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栽培
コムギにおける出穂10日後追肥の効果
高山 敏之長嶺 敬石川 直幸田谷 省三
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2004 年 73 巻 2 号 p. 157-162

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抄録

コムギの倒伏を助長せずに, 子実タンパク質含有率を増加させるため, 5品種・系統を用い出穂10日後に窒素追肥を行い, その効果と品質に与える影響を調査した. 出穂10日後追肥により成熟期は1~2日程度遅くなったが, 稈長と穂数には影響が認められなかった. 千粒重および容積重は追肥量の増加に伴って重くなり, 粒の充実が良くなった. また, タンパク質含有率は追肥量の増加に対して直線的に増加し, 追肥窒素1gm-2で約0.5%増加した. タンパク質含有率の増加に伴ってグルテン含有率も増加し, この傾向は年次および品種に関係なく一定であった. タンパク質含有率と粉の色相との間に相関関係が認められ, タンパク質含有率が高くなると粉の色相が悪くなった. 以上から出穂10日後追肥はタンパク質含有率を効率的に向上させるのには有効であると言える.

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© 2004 日本作物学会
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