日本作物学会紀事
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作物生理・細胞工学
冠水ストレスが発芽時のダイズに及ぼす影響と種子含水率調節による冠水障害の軽減効果
中山 則和橋本 俊司島田 信二高橋 幹金 榮厚大矢 徹治有原 丈二
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2004 年 73 巻 3 号 p. 323-329

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抄録
ダイズ9品種の種子を冠水処理し, 冠水ストレスがダイズに及ぼす影響とその品種間差について, 冠水前の種子含水率との関連で検討するため, 室内および圃場試験を行った. Pekingでは冠水による障害はほとんど認められなかったが, 他の品種はいずれも, 冠水処理により出芽および出芽後の植物体の生育が阻害された. 冠水ストレスに対する感受性は種子含水率により大きく変化し, 含水率6.5%の種子を冠水処理した時の地上部総乾物重(出芽数 × 出芽1個体当たり地上部重)は, 冠水処理をしなかった対照区の0.5~54%まで減少したが, 種子の含水率を高めることで冠水害は軽減され, 含水率を14.5%まで高めた種子では冠水区の地上部総乾物重は対照区の65~97%を示した. 含水率10%種子では冠水感受性に有意な品種間差が見られたが, 含水率14.5%種子ではその品種間差が縮小されて明瞭でなくなり, 高含水率種子を用いて冠水害を回避する手法が, 品種に関係なく適用できる普遍性の高い手法となる可能性が示唆された. 冠水害軽減効果は過湿状態の圃場でも確認され, その効果は室内実験よりも限定的ではあったが, 含水率調節による冠水害回避の有効性が示された.
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© 2004 日本作物学会
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