日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
収量予測・情報処理・環境
アズキ種皮色に対する登熟期温度の影響
長岡 泰良沢田 壮兵加藤 清明
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 73 巻 3 号 p. 330-335

詳細
抄録

アズキの種皮色は粒大とともに品質に関係する重要な外観形質である. 種皮色に対する登熟期の温度の影響を明らかにするために品種エリモショウズを用いて2つの実験を行った. 種皮色をXYZ表色系で表した. 実験1では, 成熟度を異にする3種類の莢(未成熟莢, 成熟初期莢, 成熟莢)を, 温度4水準(5, 15, 30, 40℃)と日数7水準(2, 4, 6, 8, 10, 12, 14日間)の組み合わせで処理した. 温度の影響は未成熟莢で大きく, 成熟莢で小さかった. 高温になるほど主波長(色相)は長くなり, Y値(明度)は小さくなった. 刺激純度(彩度)は, 成熟莢では高温とともに小さくなったが, 未成熟莢と成熟初期莢では30℃処理まで上昇し, 40℃で減少した. 実験2では, 圃場で白色莢(成熟初期莢)に印を付け, それ以降10日間の平均気温と収穫した種子の種皮色との関係を調べた. 10日間の平均気温と, 主波長には正の高い相関関係(r=0.913)が, Y値(r=-0.911)と刺激純度(r=-0.893)とは負の高い相関関係があった. これらのことは, 登熟期の気温が高いと主波長が長くなり, Y値と刺激純度は小さくなるため, 種皮色が濃くなることを示している. 白色莢以後10日間の平均気温から収穫時の種皮色を予測する推定式を作成した. 主波長yD=0.7947x+591.3, Y値yY=-0.3452x+12.64および刺激純度yE=-0.5507x+44.4に, 白色莢を観察した日から10日間のその地域における平年値の平均気温を代入することにより, それぞれの値を求めることができる.

著者関連情報
© 2004 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top