抄録
胴割れ米発生と登熟期の気象条件との関係を明らかにする目的で, 圃場試験およびポット試験を行った. 水稲13品種を圃場で5年間計6回栽培し, 刈り遅れ条件で収穫時の胴割れ発生を調査した結果, 供試したいずれの品種も登熟初期の高温多照条件で胴割れ率が高くなる傾向にあった. 特に日最高気温との関連が強く, 出穂後1~10日ないし同1~5日の平均日最高気温と胴割れ率との間には, 供試した全品種で5%水準以上の有意な正の相関関係が認められた. また, ポット試験を行った結果, 開花後6~10日に高温処理を行うと胴割れ発生が著しく増加した. この時期は, 最終籾乾物重の約14~40%を示す穎果発育ステージに相当した. 以上より, 米粒の胴割れは, 登熟初期の高温条件で発生が増加することが明らかになった.