抄録
アマチャ新品種の育成ならびに栽培法の確立を目指すため, まずアマチャがアジサイ属の中で形態, DNA量, 染色体数, 分子マーカーなど多方面からみた総合的な特性でどのような特徴を持つのかを知ろうとした. 供試品種はアマチャ (Hydrangea macrophylla Ser. var. thunbergii Makino) やアマギアマチャ (Hydrangea macrophylla Ser. var. amagiana Makino) などのアマチャ群の4品種を含むアジサイ属の代表的な25品種である. 形態的特性, フローサイトメーターによるDNA量, 根端細胞観察による染色体の調査, およびSSR分析を行い, それらにもとづき主成分分析を行った. この結果, アマチャ群の品種を総合的な特性からみると, 他のアジサイ属品種と比較的似ており, アジサイ属のなかで特異的ではないことが認められた. しかしアマチャ群の品種間でも染色体数に変異が見られ, また収量を構成する葉数や生育に適する光の強さなど実用上意味のある差異が見られた. アマチャ群の品種間およびアジサイ属品種との交雑や倍数性育種による多収高品質の新品種育成の可能性を示唆した.