日本作物学会紀事
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品種・遺伝資源
ネピアグラス(Pennisetum purpureum Schumach.)とトウモロコシ(Zea mays L.), における地上部の水の通導抵抗の種間比較.
長菅 輝義窪田 文武
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2005 年 74 巻 2 号 p. 179-184

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抄録
超多収性作物であるネピアグラスの地上部, 特に茎部の水輸送特性を明確にするため, 高圧流量計を用いてネピアグラスの地上部各部位の水の通導抵抗を測定した. 結果を以下に述べる. 1)ネピアグラスの地上部, 葉身部および茎節部の水の通導抵抗(Rshoot, RleafおよびRstem)は, すべてトウモロコシに比較して有意に高かった. 特に, Rstemの種間差は大きく, トウモロコシの約4倍だった. 2)ネピアグラスの茎の断面積(SA)はトウモロコシよりも小さく, RstemSAで正規化したRSstemではRstemの場合と比較して両種の差が大きく低下した. しかし, RSstemは依然としてネピアグラスの方が有意に高く, ネピアグラスの高いRstemSARSstemの相乗効果によるものと考えられた. 3)茎部の水の通導抵抗を, 節の葉鞘方向の水の通導抵抗(γγ), 節の茎頂方向の水の通導抵抗(γa)および節間の水の通導抵抗(γin)の3つに分割した. ネピアグラスのγγおよびγaは共に高く, 特にγγで顕著な種間差が確認された. これらのことよりネピアグラスのRSstemの高さには節部の水の通導性が関与しており, 茎の細さと節部の高い水の通導抵抗の相互作用によって本植物1茎全体の水の通導抵抗が増加したものと考えられた.
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© 2005 日本作物学会
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