日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
1998年6月3日に北海道の斜網地域で発生したジャガイモの霜害から地形を読む
伊藤 博武宮武 勝美小松 輝行
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キーワード: 降霜, 霜害, ジャガイモ, 地形
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2005 年 74 巻 3 号 p. 364-368

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抄録

北海道斜網地域の地形は, 三方が山地と台地に囲まれた斜里平野, 四方が低地の小清水台地と網走台地, 藻琴山からオホーツク海にかけて広がる台地が侵食されてできた波状地形, の3つに大きく分けられる. ジャガイモの霜害の被害程度を調査したところ, 斜里平野は被害が重く, 小清水台地と網走台地では被害が軽く, そして波状地形では異なる被害程度が複雑に現れた. 最低気温は被害の重かった所ほど低く, 氷点下経過時間についても被害程度が重い所は長かった. 降霜が発生した時の風は, 高地より低地側へと流れていた. つまり, 高地の地表面付近の冷気は低地へ移動し, 冷気が収束した斜里平野では氷点下経過時間が長くなり被害が重く, 低地へ冷気が発散した小清水台地と網走台地では気温が氷点下まで下がらなかったために被害がなかった.

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© 2005 日本作物学会
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