日本作物学会紀事
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作物生理・細胞工学
寒冷地におけるアズキの初期葉面成長
何 寧沢田 壮兵加藤 清明小嶋 道之
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2006 年 75 巻 2 号 p. 197-203

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抄録

寒冷地におけるアズキの安定生産には初期生育が重要であり, この観点からアズキの生育初期における葉面成長を明らかにした. エリモショウズとしゅまりの2品種を供試して, 2003年(低温年)と2004年(高温年)に実験を行った. 両年とも同じ日に2週間間隔で6回播種した. 初生葉, 第1, 第2および第3葉の葉面積と表皮細胞の面積を調査した. 供試した2品種の葉面積は初生葉が最も小さく, 葉位が上がるにつれて増加した. この傾向は一部を除き播種日を変えても, 低温年および高温年でも変わらなかった. いずれの葉の面積も低温年より高温年で大きかった. 表皮細胞は凹凸のある多角形で, 細胞面積には191~6088 μm2の変異があった. 初生葉の細胞面積は第1~3葉の面積より大きかった. 播種日が遅くなるにつれて, 初生葉の細胞面積は大きくなったが, 第1~3葉にはこの傾向はみられなかった. 細胞面積も高温年が低温年よりも大きかった. 葉面積に対して葉長と葉幅は各葉とも高い正の相関を示したが, 葉面積と細胞面積では初生葉でのみ正の相関が認められた. 葉面積に対する葉長と葉幅の効果は後者が相対的に大きかった.

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© 2006 日本作物学会
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