日本作物学会紀事
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ダイズ子実中のイソフラボン含量に及ぼす品種と栽培条件の影響
境 哲文二瓶 直登高田 吉丈河野 雄飛高橋 浩司島田 信二
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2006 年 75 巻 3 号 p. 296-305

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抄録

ダイズ子実中のイソフラボン含量に及ぼす栽培条件, 品種, 栽培年次および栽植密度の影響について1999, 2001, 2002年の3ヶ年にわたり解析した. 12品種を供試した評価では, イソフラボン含量は普通畑標播<転換畑標播<普通畑晩播, 年次間変動は普通畑晩播<普通畑標播<転換畑標播の順に増加する傾向を示した. 3ヶ年の平均イソフラボン含量の品種間差および年次間変動係数は普通畑標播区でそれぞれ3.0倍, 6~27%, 普通畑晩播区で同2.3倍, 4~31%, 転換畑標播で同2.2倍, 10~44%でいずれも品種間差は顕著であった. 栽植密度がイソフラボン含量およびその成分組成に及ぼす影響は有意ではなく, 含量と子実収量との間にも相関関係は認められなかった. 2000年には播種期が遅延するに従いスズカリのイソフラボン含量が増加することを確認した. また, 土壌の種類に関して, ふくいぶきでは灰色低地土より黒ボク土でイソフラボン含量が高い傾向を示したが, 窒素施肥の影響は明らかでなかった. 以上の結果は, 晩播と密植化およびより肥沃度の高い圃場での栽培を組み合わせることで, 低収化をカバーし, なおかつ付加価値の高い高イソフラボン含有ダイズの生産が可能であることを示している.

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© 2006 日本作物学会
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