日本作物学会紀事
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栽培
開花期の窒素追肥がパン用コムギ品種「ミナミノカオリ」と「ニシノカオリ」の製粉性,生地の物性および製パン適性に及ぼす影響
岩渕 哲也田中 浩平松江 勇次松中 仁山口 末次
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2007 年 76 巻 1 号 p. 37-44

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抄録
北部九州において,開花期の窒素追肥とパン用コムギの品質との関係を明らかにするため,「ミナミノカオリ」と「ニシノカオリ」を供試して,開花期窒素追肥量を変動させて,製粉性,生地の物性および製パン適性について検討を行った.子実タンパク質含有率は,開花期の窒素追肥量を2 g m-2増やすごとに約1%高くなり,両品種とも2 g m-2施用でタンパク質含有率の基準値である11.5%に達した.開花期の窒素追肥量を多くするほどバロリメーターバリューが大きくなったが,「ニシノカオリ」は「ミナミノカオリ」と比較して,ファリノグラムの生地の形成時間,バロリメーターバリューおよびエキステンソグラムの各特性値が小さかった.「ミナミノカオリ」では4 g m-2施用でパン比容積が大きくなったが,「ニシノカオリ」では開花期の追肥量による処理間の差は小さく,この一つの要因として,「ニシノカオリ」は「ミナミノカオリ」より沈降量とグルテンインデックスが小さく,グルテンの品質が劣るためであると考えられた.パン総点は開花期の窒素追肥が多いほど優れる傾向がみられ,重回帰分析を行った結果,パン総点へはバロリメーターバリューと60%粉タンパク質含有率の寄与が大きかった.開花期の追肥量間と品種間の分散成分の比較により,60%粉のタンパク質含有率は開花期の追肥量,生地の物性やパン比容積は品種の影響が大きいことが示唆された.
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© 2007 日本作物学会
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