日本作物学会紀事
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品質・加工
暖地水稲の登熟期間の高温が玄米品質に及ぼす影響
若松 謙一佐々木 修上薗 一郎田中 明男
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2007 年 76 巻 1 号 p. 71-78

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抄録

水稲の登熟期間の高温条件が玄米品質に及ぼす影響について検討した結果,出穂後20日間の平均気温27℃以上の高温条件で背白米,基白米が多発し,それ以下の温度ではほとんど発生が認められなかった.但し,背白米の粒厚は乳白米に比べて厚く,タンパク質含有率も乳白米に比べて低いため,食味低下への影響は乳白米に比べて小さいものと考えられた.また,千粒重は出穂後30日間の平均気温26℃以上の高温条件で,整粒割合は27℃以上で低下傾向が認められた.玄米品質からみた登熟適温は,千粒重が最大となる約24℃と考えられた.また,不完全米発生割合で品種間差異がみられ,その発生様相,程度が異なることが認められた.中でも背白・基白米発生割合について品種間の違いが顕著であった.ヒノヒカリ,黄金晴,初星,ミネアサヒといった高温登熟性が「弱」の品種は,いずれも高温登熟性が劣る喜峰に由来しており,高温登熟性の優劣は遺伝的影響を受けていることが考えられた.

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© 2007 日本作物学会
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