抄録
イネ‐コムギ‐ダイズを2年3作で作付ける田畑輪換田において, 2002年から2004年播コムギを対象に, コムギ収量の圃場内変動をもたらす要因を解析し, その要因の圃場内変動に応じて肥料や種子などの農業資材の投入量を変化させ圃場内の収量変動を是正する可変量管理の可能性を検討した. 収量変動に対して穂数の寄与が1穂整粒数および千粒重に比較して高く, 収量を是正するには穂数を可変量管理の対象とするのが効率的と考えられた. そして播種量が苗立ち数を左右し, 苗立ち数に影響される小穂分化期窒素保有量そして茎数が穂数を左右すると共に, 播種時土壌含水比は出芽深度を左右することで穂数に強く影響していたと考えられた. これらの事から, 播種時土壌含水比の圃場内変動に応じて播種量を制御する可変量管理によって, 場所ごとの穂数を是正することで圃場の平均収量を是正し得るものと考えられた. この可変量管理は, 収量の圃場内変動のうち是正できる可能性を有する変動の42.7%を是正できると判断された.