日本作物学会紀事
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品種・遺伝資源
エステラーゼアイソザイムを利用したオオムギ縞萎縮病抵抗性遺伝子の集積法
五月女 敏範河田 尚之吉田 智彦
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2008 年 77 巻 2 号 p. 174-182

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抄録
オオムギ縞萎縮病(BaYMV)抵抗性遺伝子のrym5rym3を集積した品種を選抜した. rym5と密接に連鎖しているエステラーゼアイソザイム遺伝子Est1-Est2-Est4の遺伝子型Ca-null-Nz/Ca-null-Nz(木石港型)を持つビールオオムギ品種と, Pr-Fr-Su/Pr-Fr-Su(Prior型)でrym3を持つ品種との交雑後代において, Est1-Est2-Est4の型と, 異なるBaYMV系統により汚染された圃場における抵抗性・罹病性の反応からBaYMV抵抗性遺伝子型を推定した. BaYMV I型系統(rym5及びrym3を持つオオムギ品種がBaYMV抵抗性を示す系統)汚染圃場で抵抗性を示しかつエステラーゼアイソザイムがPr-Fr-Su/Pr-Fr-Su(Prior型)の品種を選抜することによりrym3を持つIII型系統(rym5を冒すBaYMV系統)抵抗性品種, エステラーゼアイソザイムがCa-null-Nz/Ca-null-Nz(木石港型)でIII型汚染圃場にて抵抗性を示す品種を選抜することによりrym5rym3とを集積した複合抵抗性遺伝子集積品種を選抜することが可能で, その誤選抜率は約4.9%であった. また, これらの交雑後代において農業形質で選抜を行うことにより, rym3の出現頻度が有意に低く歪んだ.
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© 2008 日本作物学会
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