抄録
暖地において晩播水稲栽培を確立することを目的として, 晩播(6月下旬播種)水稲の生育および収量・品質特性について2001年と2002年の2ヶ年にわたって普通期播き(6月上旬播種)水稲と比較した. 晩播水稲は, 普通期播き水稲に比べて生育期間が短いために茎葉の伸長量は小さいが, 幼穂分化期~穂揃い期の個体群生長速度が大きく, 穂揃い期以降の乾物生産特性は変わらなかった. また, 分げつが旺盛で穂数が多くなり, ラグ期の窒素吸収特性に優れ, m2当たり籾数が多くなった結果, 増収しやすいことが示唆された. さらに, 晩播適性指標により, 晩播適性基準を策定し, この基準を用いて供試品種・系統を評価した結果, どんとこい, ふくいずみ, 西海242号, 西海244号の収量はいずれもヒノヒカリに比べて高かったが, 全ての項目で基準を満たした品種・系統はふくいずみのみであった.