2001年~2003年に暖地の普通期播き水稲と晩播水稲の収量を比較した結果, 3ヶ年の平均では普通期播き水稲と晩播水稲はほぼ同等であったが, 晩播水稲が普通期播き水稲に比べて大きく減収した事例が認められた. この要因について気象条件および乾物生産特性を解析した結果, 出穂までの寡照によって最高分げつ期までの初期生育が大きく劣ったためであると考えられた. また, 異なる裁植密度において条間・株間を詰めた密播の初期生育が最も優れる傾向を示したため, 2004年~2005年の晩播栽培において標準密度播種区と密播区を設定した. この結果, 密播区は標準密度播種区に比べて出穂までの個体群成長速度(CGR)は大きく, 分げつ数が多く推移した結果, 穂数は有意に多くなって増収した. これらのことから, 晩播栽培では普通期播き栽培に比べて密播条件とすることが収量安定化に有効であると判断された.