茶栄養系適応性検定試験(系適試験)に供試した16品種・系統について,近赤外分光分析法によって,1988年,1989年の一番茶の全窒素,全遊離アミノ酸,カフェイン,タンニン含有量を分析した.系適試験のデータは,多数の欠測値を含むため,分散分析の前に欠測値の推定を行った.推定値を含めて各化学成分含有量について,品種および環境(地域・年次)を要因とする二元配置分散分析を行った結果,すべての化学成分含有量について,1%水準で,品種間および環境間に有意差が認められ,全分散に対する環境間分散の比率は,品種間分散の比率より大きかった.一番茶の化学成分含有量は,地域・年次による環境条件の違いによって,大きく変動する形質であるが,品種間には遺伝的変異が認められた.これらの化学成分の中では,カフェイン含有量は,品種間分散の割合が他の形質より大きかった.