抄録
飼料用サトウキビ品種KRFo93–1の年2回収穫体系の導入を目的として,KRFo93–1と製糖用サトウキビ品種NiF8の年1回および年2回収穫区における生育と収量を株出し1年目,2年目について比較した.生育期間中の有効積算温度は,年1回収穫区で最も高く,次いで年2回収穫区の1番草,2番草の順であった.収穫時の諸特性で評価される生育ステージは,両品種とも有効積算温度と密接に関係し,有効積算温度が少ないほど若い生育ステージにあった.KRFo93–1はNiF8と比較して仮茎長が大きく,その品種間差は株出し後の初期生育時と生育期間に低温期を含む年2回収穫区の2番草において特に顕著であった.KRFo93–1は株出しの2年間を平均すると,年間生草収量,乾物収量は年1回収穫区でそれぞれ226 t/ha,56.1 t/haであったのに対して,年2回収穫区ではそれぞれ278 t/ha,57.7 t/haであり,年2回収穫区で収量性が高まる傾向を示した.一方,NiF8の年2回収穫区では,年1回収穫区と比較して年間乾物収量の減少が認められた.KRFo93–1は初期生育および低温期における茎伸長が旺盛なため,年2回収穫区でも高い収量性が得られたと推察される.