抄録
近年,有機栽培が注目されているが,水稲有機栽培における育苗法は確立されていない.そこで有機質肥料を用いた水稲育苗法を確立するため,プール育苗条件下における有機質肥料の選定およびその適切な施用量を森林下の表層土 (山土) を用いて検討した.まず,3種類の有機質肥料について検討を行ったところ,菜種油粕及び魚粕が有望であると示唆された.次に両有機質肥料を窒素成分として1:1で混和したものを用い,窒素の施用量別に4試験区 (窒素成分で0~3 g) を設けて検討した.その結果,山土を用いたプール育苗条件下において両有機質肥料を窒素成分で1 gずつ計2 gを施用した際に栃木県の早期栽培,群馬県の普通期栽培において目標とする生育値に最も近い苗を育成できることが明らかとなった.