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日本作物学会紀事
Vol. 81 (2012) No. 2 P 148-159

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http://doi.org/10.1626/jcs.81.148

総 説

稲作の低コスト・省力化のため直播栽培の普及が求められている.本総説では最近開発された鉄コーティング種子を用いた湛水直播技術について,発案と開発の経緯を他の直播技術との関連性に基づいて論じ,技術の内容と評価を概説する.鉄コーティング種子は浸種または催芽した発芽準備期のイネ種子を還元鉄粉で造粒して酸化処理した後乾燥したものであり,手作業で,または機械化して大量に製造できる.鉄コーティング湛水直播は表面播種であることと,コーティング済みの種子を長期保存できそのまま播種できる点において,酸素発生剤を使う土中播種や欧米およびアジアで普及している催芽種子の湛水または落水表面播種とは異なる.鉄コーティング種子は浮かず,スズメによる食害を受けにくく,また種子伝染性病害虫が発生しにくい.本技術を普及させるためにはコーティング種子作製時の鉄の酸化発熱による種子の損傷問題の解決,出芽遅延の軽減,苗立ち期の水管理の改善および収量の向上が課題であり,発芽準備期の種子に関する生理学的解析,点播,条播および散播における収量向上に関する実証的研究および無代かき条件下での播種技術の開発が望まれる.

Copyright © 2012 日本作物学会

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